北海道自然観察協議会は自然観察指導員の集まりです。

北海道自然観察協議会

 

2022年5月の行事一覧

「花川南防風林」観察会

開催日 2022年05月14日(土)
観察地 石狩市 花川南防風林
テーマ 6000年前の海岸線「紅葉山砂丘」の痕跡 を残す花川南防風林。石狩低地帯の原生 林の面影を、春植物と共に観察
 参加者 一般5名  指導員4名

5月の観察会で防風林に残雪があったことは、初めてでした。この冬の大雪の際の除雪のしわ寄せが防風林に及んだようです(写真①)。
石狩市には多数の防風林があります。明治26年、原野を開拓した時、伐採せずに防風林として残された部分で、ほとんどが天然林(自然林)です。花川南防風林の南端の発寒川に近い所に、ドロノキやチリメンドロ(ニオイドロ)があります(写真②)。
林内の林床には、数日間の陽気のせいでオオタチツボスミレは散ってしまい、オオバナノエンレイソウも少なく(写真③)、クルマバソウ、マイヅルソウ、オオアマドコロが咲き始めたばかりで、触ると危険なツタウルシがやけにつやつや光っていました。
エゾノウワミズザクラは林内の数か所で叢生しています(写真④)。
絶滅危惧のランクの高いクロミサンザシはつぼみを数多くつけていました(写真⑤,⑥)。
イタヤカエデ、ハウチワカエデ、エゾノクロウメモドキ(♂)ミズナラ、エゾニワトコなどの花を、近くで観察することができました。
以前は、トクサが優占していましたが、ササがとって替わり、地下水位の低下が案じられています。
6000年前の海岸線である紅葉山砂丘の名残は、防風林西側の市道から、法面(のりめん)を断面として見ることができます(写真⑦)。
発寒川に架かる横井橋の露出管は、水道管ではなく、石狩湾新港の洋上風力発電所の特別高圧送電管です。市道に埋設された送電線上で防風林を観察することもあるこの観察会が、果たして今後楽しく続けることができるのか、心配しているところです。

石岡 真子

①この冬の除雪のしわ寄せは防風林に及んだ

②チリメンドロ(ニオイドロ)の木前で

③オオバナノエンレイソウ

④エゾノウワズミザクラ

⑤クロミサンザシの前で

⑥クロミサンザシのつぼみ

⑦紅葉山砂丘の断面(道路のり面)

2022年5月14日